2008-04-14

「第一回授業の感想」

「公共経営」と「民間経営」の本質的な違いは何か、「公共」とは何か、もっと迫りたいと感じました。例えば、同等の機能を持つ組織でも公共部門と民間部門の違いは使命の違いだということでしたが、では使命がどう違うのか。組織の区分として提示された二通りの区分の他に「公共部門と民間部門」「営利法人と非営利法人」とあると思いますが、それぞれの分類の仕方にどのような意味・違いがあるのか。もっと考えてみたいです。

市場化テストの「基本理念」のうち、特に「民間事業者」が携わることの特徴であるのは、「民間事業者の創意工夫」の部分だと思います。ではなぜ、民間事業者ができて官にできない「創意工夫」があり得るのでしょうか。能力的に民間事業者の従業員の方が優秀である、ということは、少なくとも当然の前提としては言えないはずです。従業員に「創意工夫」をさせる「何か」が民間事業者にはあって官にはないのではないでしょうか。

地方公共団体の課題について、政府のまとめたものを紹介するに留まっているような印象を受けました。そこで挙げられた課題の本質は何なのか、もっと迫れるし、迫ることが必要なのではないかと思いました。例えば、「行き過ぎた国の関与と財政的依存」という課題が挙げられていましたが、関与する側にも大義があったからこそ、現在の仕組みがあるのではないですか。価値観や効率性など幾つかの違った尺度が絡まって複雑な点だとは思いますが、それを整理できればよいと思います。また、お遍路さんを用いた地域活性化へのアイデアに対するクレームの話は、別の点で興味深いものでした。もちろんそのクレームが極論のような気もしますが、一面の真理も含まれているのではないでしょうか。そのような事態を防ぐためにも、やはり事業の主体は民間である方がよいのではないかという気もします。

よく講義内容を思い返してみると、今回の主題が「自治体とは」であるにも関わらず、「自治体とは何か」という問いに対する直接の答えは、なかったのではないかと思いました。そうではなく、自治体はどんな規模で、どんな権限を持っていて、その意思(政策)決定機構はどうなっていて、その政策を実行する組織にはどんな種類があって、財務的にはどのような仕組みになっているか、というところから、言わば外堀を埋めるようなお話だったのではないでしょうか。講義を聴き終わってもいまいち自分が本質的だと思える質問が思い浮かばず、わかったようなわからなかったような印象を抱いたのは、それがためだったような気がします。しかし逆に、外堀を埋めるような説明をせざるを得ないほど自治体というのは複雑な制度であるということでもあるという考えには至っています。

現金主義型の会計制度と発生主義型の会計制度の根本的な考え方の違いはある程度わかったような気がします。ただ、お話を伺っていて、現金主義型決算書で表される情報は発生主義型決算書で表される情報の部分集合と言えるのだろうと考え、実際にどの項目がどの項目に当るのかをちょっと考えてみたのですが、よくわかりませんでした。また、自治体は歳入歳出額をまず決めているから現金主義になるというところはわかったのですが、本来資産管理の方法として発生主義型が望ましいのならば、自治体の政治的意思決定自体を発生主義型の会計制度に基づいてできるようになればよいのではないかと思いました。そうしない或いはできない理由として、現金主義の方がわかりやすい、現金主義の方が手間がかからない、ということは言えるのでしょうか。

四種類の財務書類を見て、一般会計・特別会計が重要だと感じました。特別会計は、まさに収支を確認する意味のあるものだと思います。一方、一般会計は、講義でも触れられていたように、収入や負債は基本的には財務省が窓口になっているものだとしたら、窓口として財務省が扱っているものと他省庁(府省)のものを同一線上に表示するのは、ナンセンスな気もします。無論、実際の各府省の扱っているお金の動きを忠実に示す点ではよいのですが。又、民間企業と(恐らく)異なり、国家機関の究極目的は歳出を減らし歳入を増やすことではないと思うので、財務書類に目を奪われすぎるのも良くないと思いますが、今までの日本の状況はその逆で財務状況に目を向けなさ過ぎだっただけなのでしょうか。又、この財務書類を見て、自分のサークル等の団体でも実践できたら面白い知れないということ、来年から働く予定ですが、財務畑の仕事も面白いかも知れないと思いました。

収入ノルマの設定や「目的積立金」を巡る現状は、問題が多いと感じました。ただ、例えば企業においても、必ずしも金銭的な利益をその企業にもたらさない部門はあると思いますが、何らかの形でその部門の業績を計ったり業務を効率化させる動機付けとなる施策がされていると思うので、そういう施策を見習うことができるのではないでしょうか。「目的積立金」を認める権限を持つのが財務省であるなら、財務省は、各独立行政法人の存在意義を理解し、その意義をより高める方向に業務を進めるような判断が求められます。

「ロジックモデル」の練習で、「模範解答」と自分の発想が全く違っていました。自分はまず「整備」とは何だろう、と考え込みました。質問しようかとも思いましたが、目的から考えれば、「危険箇所」と定義された特定の箇所を、より事故が起きにくくする、ということだろうと自分で納得しました。そして、その箇所でより事故が起きにくくなったなら、それは現実に事故が減るという結果に結びつく筈です。たとえ僅かにせよ、相対的には「交通事故の少ない社会が実現」したと言えるでしょう。次に、「事故」がなぜその箇所で起きるかを考えると、その箇所に事故を誘発する何らかの属性があるからではないかと考えました。抽象的に言うなら、「交通が円滑でない」ということなのではないでしょうか。そこで、事故危険箇所を「整備」したら、その交通が円滑になり、事故が減り、「社会」に対しても「事故を減らす」方向の影響を与える筈だ、という結論に至りました。

まず、先生のご講義がとても「実務家らしい」ものであったことが印象的でした。例えば、スライド五頁目のアカウンタビリティの分類の話、その次のページにある「パートナーシップを理解するための理論的フレームワーク」などは、出典或いは論拠がどのようなところにあるのか、自分としては興味がありました。しかし、先生の意図としては、そのような理論的な部分に思考力を集中するより、「理論的背景」はあくまで前提として押さえた上で、現場を知る、ということだったのだろうと思います。また、日本よりも、英国の方が、客観的・統一的基準で自治体の行政実績が評価されている、ということでした。日本では、住民が主観的に満足していれば良いと考えれられることが多いのに対し、英国では、住民が満足すると思われる客観的な基準を作ってそれを満たしていくことに重点が置かれているのではないかと感じました。

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