徒然なるままに、自然科学研究機関の位置付けを考えてみています。社会科学・人文科学の分野にまで応用・連続できるのかどうかわからないので、とりあえず自然科学分野を念頭に置いて考えてみます。大雑把で抽象的なので何を言っているのかわからないと思われるのが普通かと思いますが、ご意見をいただければ幸いです。
両軸の定義・特徴
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分野融合的⇔分野独立的
前提として、研究者は、特に何もしなければ分野独立的に研究を行うものだと思います。それは、事務でもそうでしょう。企画系・広報系・経理系・庶務系・知財系等々、何もしなければ、それぞれの系列内で仕事がつながるのではないでしょうか。それに対して、積極的に働きかけを行うのが、分野融合的であるということです。
但し、同じ
分野融合的
と言っても、戦略研究機関
と総合研究機関
ではその性格が若干異なります。前者においては、分野融合として求められることの中身は、組織レベルで、関係する様々な分野の研究を含んでいることです。いや、様々な分野の研究を含んでいることが必要というよりは、下記のように政策目的ありきで組織が存在する以上、それに関係する分野が複数に亘るのが通常であり、その一部を排除すべきではない、という消極的なものです。その中身も、同一の組織内に各分野の研究が含まれれば、とりあえずよいと言えます。それに対し、
総合研究機関
に求められるのは、基本的に全研究分野を網羅することです。つまり、戦略研究機関
に比べれば、積極的な分野融合と言えるでしょう。また、分野融合の具体的な内容も、ただ単に一つの組織内に複数の研究分野が存在していればよいというものではありません。組織レベルではなく、研究レベル、研究者レベルで交流をし、触発し合うことが求められます。 -
国策的⇔独立的
この軸は、政府の政策との関係性を強く持つ必要があるかどうか、というのが違いです。関係性が強い場合は、政策によって予算等が上下するでしょうし、そうでなければ、その逆ということです。
各機関に影響する政府の政策というのは、大きく分けて、二種類あるのではないかと思います。一つは、研究の目的に当たるもの、例えば環境問題の解決や健康長寿社会の実現などです。もう一つは、知的基盤の整備で、国内外で共有する研究基盤として整備される研究施設や、研究に必要な資源の整備等があるでしょう。
この、国策的か否かの違いは、各機関の業績評価のために用いるべき指標の違いにも表れるものなのではないかと思います。国策的な機関であれば、その国策を遂行できているかどうかが、最優先の評価基準となるでしょう。一方、独立的な機関においては、純粋に科学的な価値を評価することが第一の指標となるべきものなのではないでしょうか。
なお、上記に述べたものを一つの原則として、注意すべき点はあると思いますが、それはまた追って考えます。
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