(どうなる未来!?働く私たちの生き方は変わる ~働く人々を取り巻く未来について考える~)
この「フューチャーセッション」というのは、会議の形の一つだと思っていますが、知る人からは高い評価を受けているようです。
司会の技術が優れているのか?
そんなことをざっと考えてみた、メモです。
1)進行の概要
- まず、「10年」程度のスパンで将来に影響を与えるような事象について、参加者間でアイデアを出し合う。(数人程度の小グループでのブレインストーミング)
- 出たアイデアを、「インパクトの大きなもの」という基準で5個、さらに「不確実性の高いもの」という基準で2個に、取捨選択していく。(同じ小グループで)
- 取捨選択の最後の局面では、すべてのアイデア(2個×グループ数-重複)から、参加者全員の投票により、2個を選ぶ。
- 選ばれた2つの事象が「起きた場合」「起きなかった場合」の4つの場合を想定し、それぞれどのような未来が想定されるかについて、参加者間でアイデアを出し合う。(組み直した小グループによるクイックプロトタイピング)
- 最後に、4つのいずれかの未来を実現するために何が必要で、自分はどのような行動を起こせる(起こす)か、表明する。
2)進行の特徴
- 参加者同士の対話の時間が多く取られるが、その時間管理に、特徴有り。それぞれの対話の時間を終える時、司会は、全員に聴こえるように時間を告げるのではなく、単に静かに手を挙げるのみ。そして、それに気付いた参加者は話をやめ、同じく手を挙げる、というルール。
- 1.への導入に当たって、「10年前はどうだったか?」についての意見交換から始めていた。参加者によっては、それ以降の議論に入っていくための参考になった可能性有り。
3)評価・考察
- 教授の方も言っていましたが、この手法は、共通の利害関係や関心事項を持つ参加者同士で行う場合に、より効果がある、ということです。関心や興味が発散してしまっていると、4.や5.での検討内容が、自分には関係しないと感じる参加者が出てきてしまうからでしょうか。
- 1.のプロセスで出すアイデアを完全に参加者からの提案のみにすることは、それ以降の議論を、参加者がより「自分のこと」として受け止めて進めるためには、良いことかも知れません。一方で、参加者のその場の発想では思い浮かばなかった重要なことが、世の中では既に提案・報告されている可能性もあります。何かしらの事前調査・研究のプロセスを設定すると、より多くの材料から2.以降の議論をしていくことが可能になるように思われます。
- 4.から5.にかけて、「どのような未来が望ましいか」を各参加者個々人で選択できるようにし、丁寧に議論を行うことによって、例えば同じ職場や地域にいながらあまり接点の無かった人同士が、実は共通の志向を持っていた、ということがわかれば、新たな目的志向の連携・協力関係を生み出すことが出来るかも知れません。
- 4.から5.にかけてのプロセスは、望ましい未来を何かしら一つ想定し、それに向かって努力する、ということと思います。個人としての生き方・働き方を考える上でも、示唆に富むように思われます。
- この1.から6.までのプロセスは、机上の論理、ないし一人の人間による自己完結型の思考でも再現できるのかどうか。もしくは、どの程度なら再現できるのか。できるように思われますが、もしそうであれば、この思考方法が、何がしかの役に立つかも知れません。